まーちに彩りを

日記のような雑記帳ブログ。少しでも役に立てることを書いていきたい。

君が落とした青空 櫻いいよ

 先日読み終わった本をご紹介します。

「君が落とした青空」櫻いいよ スターツ出版文庫

君が落とした青空

非常に読みやすく続きが気になるストーリー構成なので、読み始めるとすぐに最後まで読んでしまう一作となっています。

 

私は恋愛ものが好きなのですが、この「君が落とした青空」は誰にでも薦められる、みんなに読んでほしい本だと、読み終わって一日に経った現在もそう思える本です。

 

初めて櫻いいよさんの書籍を読みましたが、こんなにも感情移入しやすく泣ける話だとは読む前には想像もつきませんでしたね。

 

読んだ感想

まずは比較的ネタバレの少ない感想を述べていきます。

前提として、恋愛小説であること。舞台は学園、主人公は高校生の女の子であること。雨が関わる話だということ。

綺麗な絵の表紙から分かることですね。表紙とタイトルで手に取ったといっても過言ではありません。

雨というものは心を落とす、気持ちを下げるような印象を持つ方も多いではないでしょうか。小雨程度であれば、室内から眺めているだけなら別に問題はない。むしろ雨の音が心地いいと感じる時もあるでしょう。

しかしいざ外を歩くと、傘では抑えきれない雨に憂鬱だと感じる気持ちやうっとうしいと感じるのは心の余裕の有無だけは耐えられない何かがあるのです。

特に女性は湿気などで、髪がパサついたり化粧のノリが悪かったりと何かと不自由することが多いと思います。私は男なので聞いた話や想像でしか無いですが・・。

 

この物語の主人公である高校生の女の子、「実結」も雨に悩む一人。

何かと不満を抱くことが多い日々の彼女に追い打ちをかけるかのように降り続ける雨。そんな雨を鬱陶しいと感じることで普段の何気ない会話でも、癪に障るようになってしまうのです。

まるで自分の晴れない心を映しているのか様に降り続ける雨。何も楽しくないと殻にこもる彼女は彼氏である「修弥」との関係にも不満を抱いていた。

変わらない毎日の繰り返し、楽しいことなんて何一つない毎日。それにも関わらず修弥は楽しそうに友達と話す姿を見て、自分なんて必要あるのだろうか、本当に彼女なのかと自問自答する実結。

そんなギクシャクした関係の二人が、雨の中で起こる不思議な出来事を得てお互いの想いを探りながら心の雨に抗う物語となっている。

変わらない日々、それは本当に何もかも同じ日の繰り返しなのか?あなたにとって人生における一日というのは意味のないものなのか?この本はそう問いかけてきます。

気持ち次第でとらえ方は変わる。もし笑うことで気持ちが和らぐ、晴れやかになるのなら笑う毎日のほうがいいのではないか。もしあなたが笑えないなら、なぜ笑えないのか自問自答して、誰かに聞いてみるのがいいのではないと訴えてくる一冊でした。

 

君が落とした青空。

名は体を表すという言葉通り、素晴らしいタイトルだと読破後に感じましたね。

もし興味を持った方がいましたら、手に取ってみてください。

 

4年近く前に文庫として発売された書籍ですが、面白い物語は色褪せないですね。

 

物語の中身に片足を突っ込んだ感想を述べていきますので、気になる方はここでスクロールをやめて頂くことを推奨します。

 

実結と修弥。二人の恋の物語が描かれている一作ですが、お世辞にも仲が良いとはいえない距離感から始まります。

二年付き合った彼らは、一年目の記念日に彼氏である修弥が気付くことなく終えてしまった時から歯車が狂い始める。

私は彼のためにプレゼントを用意していたのに、彼は忘れているなんて・・。

これは現実でも起こりうる話ですね。記念日を気にしない人もいますし、変わりゆく毎日でいつの間にか過ぎていたなんてこともあるでしょう。

でも彼女は、この日を境に彼に対して冷めた気持ち、一つ壁を作って接してしまうのです。彼だけのせいにして。

この物語は、恋の物語です。恋愛とは片方で成り立つものではないということは誰しもが理解していることだと思います。しかし理解していても気持ちが、行動が伴なっていないカップルもいるんですね。

本当にあの日は彼だけがいけなかったのか。そのことに気づいていく話。

何気ない日常でも彼は、彼女に対して笑いかけているのに笑わなくなった彼女。

殻にこもることは誰にでもできる。でも自ら笑うことはできない。

聞きたいことがあるのに言わないで、勝手に決めつけて。

自分だけ傷ついたと勘違いをして悪化していく関係。

 

そんな笑わなくなった彼女に対してどうしたらいいか分からない彼。

笑って過ごすほうが、笑わないで過ごすよりいい。そんな信念をもって彼は笑い続ける。どんな時も。

彼が死ぬときでもね。

抜けられない死の繰り返し。その中で彼と彼女は、本当の気持ちを確かめあう。

つらいけど、気付けてよかったと最後には思える物語でした。

この本は忘れることのない一作になりましたね。是非、読んでほしいです。

 

最後まで感想を読んでいただき、ありがとうございました。

毎日を、変わらない毎日を、自分から変えていく。そして何気ない会話を、関係を大切に過ごしていきたい。 

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