僕は何度でも、きみに初めての恋をする。 沖田円
スターツ出版文庫から発売されている書籍になります。この本を手に取った場所は古本屋ですが、スターツ出版文庫ではどういった本が生み出されているのかを知るために同出版の本を探していました。
購入したのは古本屋ですが、手に取ったのも何かの巡り合わせ。同じ著者の本を二冊ほど買いました。面白かったら新作は書店で購入するつもりで、試しに購入。
つい先日読み終わりましたので、感想を少し述べていきます。
「僕は何度でも、きみに初めての恋をする。」
作者は沖田円さんです。
このタイトルを見たときに、物語を読む前でしたが主人公か又は恋人が記憶を無くすのかなと予想しました。
半分は正解で、半分は不正解。
読み終わった後の心情を一言で表すなら、初々しい恋でしょうか。
とても純粋な心を持った男の子と、少し道に迷っている女の子の恋の物語です。
ちなみにこの本を私は通勤時間に読んでいました。疲れた心には眩しかった。
こんな恋を体験してみたい。でも当事者だったら自分では無理だろうな。そんな話。
何度も同じ相手を好きになれるだろうか。そう考えさせられました。
今好きな人がいて、もし相手が記憶を失ったら?
今好きな人がいて、自分が記憶を失ったら?
両想いだったのに、片思いになったら?
起承転結。ぜひ、最後まで読んでほしい一作です。
私は泣いてはいませんが、心が切なくなり、彼らの曲がらない気持ちに心を打たれました。
「この世界に、きみがいる。」
この一文だけで、読んだ後は切なくなります。本は文字だけなのに、心を揺さぶることができるのは本当に素晴らしいなと。
記憶がなくても、君がいれば十分。そう思ってくれる相手、そう思える相手。
そんな相手に出会えることができたら、
「泣きたいくらいに嬉しいってこと。」
何気ない出会いから始まった二人。端的に言うならば、彼は光、彼女は蛍光灯がチカチカと消えかかっている部屋の光。
光が強ければ、弱い光も強くなる。弱い光だって、強い光の助けになる。そんな二人が惹かれ合わない理由なんてなかった。
ラストがとても好きな物語でした。
あとがきにこう書かれていました。
「今わたしの作品を読んでくださっている方が、十数年後もこの作品を読んでくれること」
それが目標だ、と。
沖田円さんが書く物語で、そういった作品を私も探していきたいなと思いました。